ファンタスティック展とは
先週の日曜日、どこか美術館でも行きたいなーと思って行ったのがこちらの美術館。
ポスターの生き生きとした虎に惹かれて行くことを決めた。
ファンタスティック展は江戸時代の日本絵画展。
”絵画は夢や空想を映し出す空間でもあります。本展では、江戸時代の人々が見た夢のかたちを絵画作品によってお楽しみいただきます。
不思議な仙境の風景や仙人たちの世界、物語や妖怪。あるいは、情報の浸透や科学の発達から生まれた異国や宇宙への夢。
そんな作品の数々が、私たちをも夢心地にさせてくれるでしょう。”
具体的にいうと、上の画像は与謝蕪村が描いた虎が代表例だ。
躍動感がある虎ではあるが、顔つきや体つきがやや変わっている。
虎には違いないが、でも実物のトラと比べると何か違う……。
それもそのはず、江戸時代には虎なんて実物をみる手段はないので空想で描くほかないからだ。
日本には虎がいない。
なので、大陸から渡ってきた本や商人の話を聞いて、想像力を膨らませて思い思い虎を描くわけだ。
猫を猪よりも大きくした四足歩行の動物で、四肢は逞しく、胴はしなやかだがしまっている。
白と山吹色の縞々の模様の体で、その体には横に黒い縞模様が入っている。
顔にも黒の縞模様が入っており、さながら歌舞伎役者のようだ―ー。
なんて考えたかもしれない。
つまり、ファンタスティック展は江戸時代に生きた人々の「想像の世界」を集めた企画展なのだ。
え、江戸時代の日本にも虎はいただって?
その虎たちはみんな日本から大陸に逃げてしまいましたとさ。
(詳しくは昔話「フルヤモリ」を読んでみるとわかります)
美術なんて興味ないね、な人におすすめ。
この企画展は普段に美術館に行かないというような人におすすめだ。
神話や宗教といった前提知識が必要になりがちな西洋画に比べて、日本画はわりと理解がしやすい。
昔話だったり童話だったり、あるいは国語の授業で自然と身に付けた文化的教養でどうにかなってしまう。
わからなくてもモチーフの名前は聞いたことある場合も多い。
しかも、日本画はデフォルメ・単純化の文化であるので、モチーフが分かりやすいし画面もシンプルだ。
シンプルな画面の絵であっても、それは手抜きではなくむしろ洗練されている。
鳥獣戯画に代表されるように、現代の漫画のような線でかかれる絵も多いのも良い。
大名行列を人間ではなくカエルの姿で滑稽に描いたものもあった。
カエルが服を着て刀を携えて、色々な仕草・表情で列をつくって進んでいく。
想像しただけでユーモラスで楽しいよね?
ファンタスティック展は東京の府中市美術館で5月8日(日)まで開催している。
ゴールデンウィークに行楽地ではしゃぐのもちろん楽しいけど、
ゆっくりと日本画を見るのもおすすめ!
ちなみに府中市美術館は府中の森公園の中にある。
まわりは緑豊かで広場やテニスコートもある公園なので、ピクニックがてらに来ても楽しそう。
僕が行ったときは家族連れで賑わっていた。
ちなみに、展示時期の前期と後期で一部展示物が変わっているらしい。
1回訪れた人ももう1度チェックするのも面白いかもしれない。
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