京都観光に「龍」というテーマを。
雄々しい角に立派な髭。
長い胴体は猛々しくうねり、眼光は鋭くすべての人を等しく睨み付ける。
そんな龍の姿を見たことがない、という人は恐らくいないよね。
昔話、コマーシャル、はたまたゲームまで、龍の存在は広く知られている。
でも、京都に龍が描かれている作品がいくつもあることを知っているだろうか?
今回は、僕がゴールデンウィーク中に回った寺社仏閣の中で、龍がモチーフのものを紹介する。
結論から言うと、様々な表情、描き方の龍が見れて非常に面白かった!
京都観光を楽しむための1つのテーマとして、ぜひおすすめしたい。
みなさんは、どの龍が好きだろうか?
そもそも雲竜図って何?
龍は仏の教えをたすける八部衆の一つで龍神と呼ばれます。そのため多くの本山では、住職が上がって仏法を大衆に説く法堂(はっとう)の天井に龍 が描かれ、それが法の雨(仏法の教え)を降らすという意味や、龍神が水を司る神であるため、火災から護るという意味 がこめられます。
龍が火災から守ってくれるというのは何となくわかりやすいけど、
仏法を広めてくれるとは参拝するまで知らなかった。
さて、雲竜図が描かれた背景を確認したところで早速紹介していくよ。
1.建仁寺
建仁寺には天井画「双龍図」がある。
広い法堂(はっとう)の天井一面に描かれた2頭の龍の姿は迫力満点だ。
2頭がうねり絡み合うようにして虚空を睨み付けている。
表情から鱗の一枚一枚が丁寧に描かれた水墨画で、思わず堂内を歩き回っていろいろな角度から見たくなる作品だ。
絵の状態は非常に綺麗である……が、それもそのはず、建仁寺建立800年を記念して2002年に日本画家の小泉淳作氏によって描かれたのだそう。
約2年もの歳月を費やして作られたというのだからすごい。
緻密な描写を畳108枚分の大きさというスケールで表現する「双龍図」は見ごたえ抜群だ。
●おすすめポイント
・描かれてから間もない、美しくも荘厳な龍が楽しめる
・双龍なので圧倒的迫力。絵も畳108枚分とかなり大きい
・いつでも見られる(他の雲竜図は公開時期が限定されていることが多い)
他にも……
建仁寺には襖絵として雲竜図が飾られている。
残念ながら複製品ではあるものの、同じ室内で空間を隔てることなく間近で見れる。
表情も違うので、「双龍図」と比べてみると面白い。
ちなみにこちらの雲竜図は御朱印帳にもなっているので、御朱印帳のデザインにもこだわりたい人におすすめ。
他にも同寺に展示されている「雷神風神図」バージョンもあるので、こちらもおすすめ。
龍がデザインされている御朱印帳は後に紹介する寺社仏閣合わせてもいくつかあるけど、
僕は白黒の水墨画がシンプルで美しい、建仁寺の御朱印帳にした。
※天井画の「双龍図」ではなく、襖絵の雲竜図の絵柄なので注意。
2.天龍寺
天龍寺には天井画として1997年、加山又造氏が作成した雲竜図がある。
見どころは堂内のどこから見ても龍から睨まれているように見えるという、「八方睨み」。
まさに睨みも利かせて災厄から守る守護神といった姿だ。
全面に漆を塗り、さらに白土を塗った上で描かれており、白く強調された眼光は鋭くも魅力的だ。
また、八睨みということでどこから見ても龍から睨まれはするのだけども、
見る角度によって龍の表情が変わるのが面白い。
表情の見え方は,妙心寺の雲竜図を拝観する際ガイドの人から説明してもらえるので
ここでは割愛。
おすすめポイント
・どこから見ても睨みを利かす、「八方睨み」の龍
・黒色と白色が美しい。特に白抜きの眼は怪しい魅力あり
・天龍寺は美しい庭園も有名。季節ごとに違った姿を見せてくれる。
※雲竜図は期間限定公開のため注意!
春の公開は5月22日まで。夏、秋にも公開されるが日程はまだ未定。
3.妙心寺
妙心寺は臨済宗妙心寺派の大本山で広大な敷地には46の塔頭寺院が立ち並ぶなど、
かなり大きいお寺だ。
その法堂の中に狩野探幽作の雲竜図がある。
妙心寺の雲竜図は天龍寺と同様に天井に描かれた八睨みの龍だ。
お昼時を除いて、20分おきにガイドさんが案内してくれる。
残念ながら好きなだけ眺めていることはできないが、代わりに妙心寺の歴史や
雲竜図の見方を教えてくれる。
雲竜図初心者は方は初めに訪れるといいかも。
さて、雲竜図のほうはというと黄金色に輝く神々しい龍だ。
建仁寺や天龍寺の龍と異なり、躍動感と猛々しさを感じる。
またこの雲竜図は他の龍に比べ、見る方向によって表情が大きく変わって見える。
堂内に入るときは厳しい表情、正面に立つにつれ表情が柔らかくなり、
最終的には昇り龍の姿となり人間たちを導いてくれるかのよう……。
こればかりは実際に見てみないとわからないことであるが、
見ていて一番面白い龍だった。
このかっこいい龍は御朱印帳にもなっている。
実際の雲竜図と同様に、黄金色で高級感溢れる装丁だ。
他の人と差別化を図りたい……そんなあなたにおすすめだ。
僕はこの御朱印帳と建仁寺の龍と迷ったが、結局建仁寺の御朱印帳にした。
おすすめポイント
・どこから見ても睨みを利かす、「八方睨み」の龍
・しかも(他の龍と比べ)表情の変化がよく見れ、面白い
・黄金色で神々しい
・御朱印帳がかっこいい
※年中公開
4.相国寺
今回僕が回った最後の雲竜図は相国寺のものだ。
相国寺の雲竜図(蟠龍図)は1605年に狩野光信によって描かれたそのものが残っている。
色も比較的綺麗に残っており、当時の姿をそのまま楽しむことができる。
龍は迫力があるものの、どこか昔話風の絵柄で親しみやすさを覚える。
また、この龍は「鳴き龍」とも呼ばれていて、堂内中央付近で手をたたくと
天井に反響して龍が鳴いているような声がする。
龍の鳴き声はどんな声なのか、それは実際に行って確かめてみよう。
この龍も御朱印帳になっている。
紺色の背景に金字で装飾された絵はシンプルかつゴージャス。
妙心寺の御朱印帳は派手だけど高級感も欲しい……そんな方は相国寺の御朱印帳をどうぞ。
おすすめポイント
・当時の絵がそのまま現存
・別名「鳴き龍」。写真じゃ味わえない体験ができる。
・なんかちょっとかわいい
※特別拝観時のみ公開。春は5月22日まで!
5.まとめ
どの龍もスケールが大きく迫力満点。写真と実物ではまったく違った。
実際に堂内を歩きながら見上げる龍は、このまま動き出して天に昇ってしまうかのようだった。
絵柄や表情も龍によって違うので、見比べると楽しいと思う。
京都の交通網はかゆいところに手が届かないので、ちょっと面倒……。
そんな人には定期観光バス特別コースとして「龍めぐり」がある。
4月のコースは終わってしまったが5月のコースはまだ間に合うので、この機会にぜひ巡ってみよう!
というかこのツアーのことを旅行後に知ったのでちょっと悔しい。
庭園や仏像を見るのもいいけれど、雲竜図巡りも面白いよ!
おまけ
雲竜図って、今回紹介したもの以外にもまだまだ京都にあったりする。
済 建仁寺 天龍寺 妙心寺 相国寺
未 萬福寺 南禅寺 建長寺 東福寺 円覚寺 大徳寺 方広寺 永源寺
向嶽寺 佛通寺 国泰寺
目指せコンプリート。
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